最終更新日 2024年11月13日
1.自分史とは
自分史は自らの生き様を文章化するもので、人生の終わりに生涯をまとめたり、半生を思い出し文章で表現する方法のことです。
自叙伝や自伝は古くから存在していますが、これは大きな功績を残したり、事業を大成功させた人が書き記すものです。
その点、こちらはごく普通に暮らしてきた人が生涯を書き綴る、そういった部分に決定的な違いがあります。
本格的に登場したり、幅広く知られるようになったのは1980年代以降のことで、文章をまとめて本にする人も登場しています。
自分史という言葉が知られ始めたのは、1975年に出版された歴史家の書籍よりも後とされます。
歴史家が提起した概念が元になって、無名の人であっても生き様を表現することができる、そのような価値観が広まりました。
最初は民衆の表現活動が発端で、次に風化が始まっていた戦争体験を後世に残す目的としても、歴史や文化的な意味を持つに至ります。
その後は生涯学習の一環として、行政組織や図書館が中心となり、啓発活動が行われ徐々に一般に浸透していきました。
今では趣味や人生の楽しみと捉えられていますし、書き方のコツを紹介する書籍が登場しているので、誰でも気軽に挑戦できる土壌が完成しています。
医学界においては、精神面の不安を取り除く一種の療法としても、この自分史づくりが注目を集めます。
2.人生の出来事を文章化してみる価値は大きい
一方ではビジネスも盛んになり、自費出版の商品に自らの人生を書き記した文章が選ばれている様子です。
過去の出来事というのは、思い出の中にあって少しずつ忘れたり、曖昧になって正しい記憶が思い出せなくなります。
恥ずかしいことは忘れたいものですが、人生には大切な思い出や記憶もあるので、文章化してみる価値は大きいといえます。
感動を再び味わうことができたり、記憶の追体験が行えるメリットが得られますから、挑戦する意味は思いの外大きなものです。
何より、パートナーや子供に自らの人生を知ってもらえるので、そういう目的に役立つ意味でも見逃せないでしょう。
もう1つは自らの人生を振り返ることができて、その時に何を感じたり思っていたのか、客観的な確認が行える点にあります。
自己観察は将来に役立ちますし、失敗を次に活かす原動力にもなるので、文書化はとてもおすすめすることが可能です。
定年で退職をしてやりがいが見付からない、そんな人にも自分史づくりは悪くないチャレンジになります。
改めて過去を振り返ってみると、当時の思い出と現時点で感じる感情は、時間の経過で変わることがあります。
当時は強くとらわれていた悩みが、実は些細なことで笑い飛ばせるものだったり、感情の正体が何処にあるのか見付ける切っ掛けにもなるわけです。
3.定年後に取り組む楽しみに自分史のチャンスを残しておく
子供の頃に感じていた感情は、大人になってみると違った見え方が可能ですし、親や回りの大人の気持ちも理解できるようになります。
時間を超えて人生が再確認できますから、定年後に取り組む楽しみとして、自分史のチャンスを残しておくのもありです。
嫌いだと思っていた自分自身のことが、客観的に振り返って見つめ直すことで、徐々に苦手意識が薄れたり好きになれたりします。
自尊心が強くない人は、過去の失敗を振り返るケースが多かったり、必要以上に大きな間違いだと自らを責めることがあります。
人は誰しも努力しているものですし、結果はどうあれ頑張りは本物ですから、振り返ってみると過去の自分を褒めることができたり、努力を認めて自尊心が高められます。
自信が身に付いていない人にも、自信を積み重ねる良い機会になるので、思い出せる範囲内で時系列順に記憶を文書化することをおすすめします。
会社を起業していたり、ビジネスで他人に自らを知ってもらう必要があるなら、自分史はビジネスにおけるツールになるでしょう。
4.自らの過去を客観的に知るメリットとは?
どんな人物が会社のトップに立っているのか、ビジネス相手の人生にはどのような背景があるかなど、文書化することで伝える手段が見付かります。
まだ社会人になっていない人も、これまでの人生を振り返って見つめ直すと、就職の自己PRが上手くできるようになったりします。
人生を振り返るのは定年退職をした人や高齢者、それは間違ったイメージで十分な認識とはいえないものです。
人生は生まれた時に始まっていますし、1日1日と着実に積み重ねているので、何時振り返っても間違いではないです。
むしろ、度々振り返って記憶や当時の感情を文章にした方が、今後の生き方や方向性を決めるのに役立ちます。
それには年齢は関係ないはずですし、若いから不要というものでもないことが分かります。
自らの過去を客観的に知ると、他人との付き合い方が見えてきたり、自分の良さを活かすコツが理解できるようになります。
記憶を思い出したり、手繰り寄せる作業が必要になるので、単純に脳を活性化する目的にも有用です。
このように、メリットは豊富で挑戦しない手はありませんから、興味を持ったらやってみるのがベストです。